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留学情報
留学体験談
交換留学(ワシントン大学)
ワシントン大学_Sさん
- プログラム種別
- 交換留学
- 留学年
- 2023年
- 言語
- 英語
- 地域名
- 北アメリカ
- 行先国名
- アメリカ
- 大学名
- ワシントン大学
- 部局名
- 工学部
- 課程
- 学士
- 新渡戸カレッジ
- 非該当
ワシントン大学(アメリカ)2023年9月~2024年6月
【所要経費】
往復航空運賃20万円、保険料22万円、教科書代なし、住居費180万円、食費50万円〜、交通費なし(学生証で電車バス乗り放題)
合計400万円弱
1.渡航前の手続きについて
・ビザ(VISA)又は滞在許可書
以前にESTAを申請したことがあったため、大使館での面接なしで、郵送でVISAを申請することができました。留学先からDS2019という書類がダウンロードできるようになってからすぐに申請し、かかった日数は10日ほどだったと思います。あらかじめオンラインフォームに必要事項を記入するのですが、このフォームが頻繁に途中で固まり、何度も入力し直したのを覚えています。
2.到着直後の手続きについて
①大学関係
授業開始数日前に交換留学生用のオリエンテーションがあり、注意事項の確認や他の交換留学生との簡単な交流がありました。また授業開始1週間ほど前に計3日間の入寮日があり、このタイミングで大学の学生寮に入寮しました。また入寮からの1~2週間は学内外でのイベントが多数あり、ここで多くの友達を作りました。特にFIUTSというイベント企画団体はほぼ毎日何かしらのイベントを開催しており、IKEAに行って必需品を揃えたり、クルーズパーティーやBBQなど盛りだくさんでした。
SIMはMint Mobileが一番安いです。空港から寮までUberを使う場合は、あらかじめ日本でクレジットカードを登録しておくのが便利です。
②滞在許可書関係
アメリカ国外に旅行に行く場合はTravel Signature入りの書類が再入国の際に必須でしたが、全てオンラインで入手可能だったのでさほど問題はありませんでした。国内移動であっても飛行機に乗る際はパスポートなどの身分証明書が必要なのはあまり知られていないので気をつけてください。
3.留学生活について
①大学関係
アメリカならではのマンモス大学で、キャンパスは広く、学生数も本当に多いです。また人種比率は西海岸らしくアジア系が多いです。統計上は白人、アジア人の順だそうですが、STEM系は特にアジア人が多いような気がします。冬は特に雨の日が多いシアトルですが、数少ない晴れの日にキャンパスから見えるMt.Rainier は本当に美しいです。またSuzzallo図書館が有名で、ハリーポッターのモデルになったとかなんだとか言われています。ジムなどの設備もしっかりしており、友人たちと頻繁にバドミントンやサッカーを楽しんでいました。
②大学の所在する街(町)の様子
治安はあまり良くありません。コロナ以降年々悪化しているそうです。緊急アラートメーリスが自動で登録されるのですが、「大学の2本隣の通りで誰かが銃を撃った」というメールが頻繁に流れてきます。また学校近辺でもホームレスや薬物中毒者が多く、日が暮れたら出来るだけ1人では出歩かないようにしていました。到着直後に1人でダウンタウンに行ったらホームレスに囲まれかけて怖い思いをしたので、それ以来日中でもダウンタウンやチャイナタウンには1人で行かないようにしていました。どこが危なく、どこが安全なのかは現地の学生に詳しく聞くのが良いと思います。買い物は学内コンビニ(District Market)をよく使っていましたが、割高なため、途中からSafewayやH mart、Trader Joe’sによく行っていました。H martはアジアンスーパーで、少し高いですが日本のものが数多く売っています。毎日のご飯用の豆腐、冷凍うどんや、テストのご褒美に伊藤園のほうじ茶を買っていました。また大学隣のU villageはQFC(スーパー)やラーメン屋などのレストランが数多く入っており、必要な時はたまに行っていました。大学から一本隣のAveという大通りには多くのレストランが並び、友人と外食する時は大体ここでした。有名ではないですが、バスで30分ほどのところにあるISSIANという焼き鳥屋さんは割とリーズナブルで、本物の日本食が味わえます。焼き鳥以外にウニうどんが絶品です。長い和食断絶期間後に行くと本気で涙が出ます。ダウンタウンにも電車で30分ほどで行くことができ、アジアンスーパーも徒歩圏内なため、他の大学に留学した友人の話を聞いているとかなり周辺環境は良いのではないかと思います。ダウンタウン手前のCapitol Hillはラーメンの激戦区です。個人的にBetsutenjinが一番好きでした。
③授業についてⅠ(内容・課題・成績評価について、特別なサポート / 特に苦労したこと / 困ったこと等)
Computer Science(以下CS)の授業のほとんどにおいて、毎週の課題に非常に重きが置かれており、出席はほぼなく、テストもなかったり、あっても比率があまり高くないものが多かったです。その分毎週の課題が本当に本当に重く、1授業あたり週20時間近くかかることもありました。分からないことはOffice Hourに行ってTAの人に質問すると教えてくれます。が、最初はその質疑応答すら上手くできず、非常に困りました。わからないことの言語化と、その答えの理解に必要な最低限の英語力は身につけておくべきでした。また先生と生徒が双方向な授業の多くでは、「自分は交換留学生で英語が苦手だ」ということを授業の最初に言えばサポートしてもらえると友人は言っていました。
一つトリッキーなのが、全学交換留学生は強制的にCollege of Art and Scienceという全学教育部のような学部に振り分けられ、その中に入っていない工学部(Computer Science and Engineering含め)やビジネススクールには所属できないということです。北大で専攻していたとしても学部外生(non major)扱いされるため、CSの授業を取るのが非常に困難でした。CS学部では専攻生と非専攻生向けの授業が明確に分けられており、専攻生のための授業を取るためには1授業につき1つ専用のGoogle Form(petition)を提出しなければいけません。なおかつ結果はランダムに送られ、遅い時は学期開始の4日前に許可が来たため、授業が取れるか直前まで分からず非常にストレスでした。非専攻者向けの授業は担当教員に許可を得れば取れるものの、数が少なく既習の内容のものが多かったため、1年で2個しか取りませんでした。授業説明欄にあるprerequisiteは「この授業を取るためには〇〇の授業を履修済みでないとダメですよ」というもので、北大で似たものを履修済みであれば、大半の場合に成績証明書を見せて許可をもらうことができます。留学直前の学期までの英文成績証明書をスキャンしておくと便利です。学部により、授業の担当教員がOKを出せば履修できるところもあれば、学部のアドバイザー(教務のようなところ)の許可が不可欠なところがあります。あらかじめアドバイザーにメールすると、そこら辺は詳しく教えてくれます。CS学部はアドバイザーが強い決定権を持っています。
④授業についてⅡ(最も興味深かった授業 / 最も困難だった授業)
興味深い:CSE 446 Machine Learning
これは機械学習の授業で、留学先の大学のComputer Scienceコースの中でも最も難しいと言われている授業でした。その通り毎週の課題が重く、中間・期末テストともにハイプレッシャーでしたが、その分多くのことを学びました。この授業は機械学習を統計学/数学的に分解し理解するとともに、その実装をPythonで行うというもので、内容の定性的理解とともに実装面まで鍛えられました。それまでただのブラックボックスのように感じていた機械学習が、実際は数学と統計の組み合わせにすぎないことを肌で実感することができ、非常に面白かったです。この授業を通して自分の興味が機械学習であることに気づくことができたのが大きな収穫でした。
困難:CSE 493Q Special Seminar(Quantum Computing)
量子コンピューティングに関する授業で、量子物理学的な内容から、実際に量子コンピュータを使った実験まで行います。最も困難だった理由が、授業内容が完全に未履修であり、尚且つ新しい分野であることから、インターネット上での日本語文献がほとんどなかったことです。それまではわからないことがあれば日本語で調べることができましたが、この授業ではそれができなかったため、知らないことを英語で理解することの困難さを思い知りました。また授業ノートが筆記体による手書きメモのみだったため、まずノートを解読することから始めなければならず、非常に苦戦しました。
4.住居と食事について
①住居
大学が提供している住居にずっと住んでいました。その中にも何種類かあり、最初の2学期は1人のルームメイトがいる寮に、最後の1学期は3人のフラットメイトがいるアパートメントスタイルの寮に住んでいました。前者は1室を完全に共有する形で、2人で1つのプライベートバスルームを使います。後者は各自個室を持ちながら、キッチンとバスルームを共有する形でした。ルームメイトは完全にガチャなので、親友のようになっている人もいればほとんど口を聞かない人もいました。1人の時間がないと死んでしまう私のようなタイプの人は、後者のような個室ありのタイプがおすすめです。また現地の学生は、Facebookなどで学外のマンションを一緒に借りるフラットメイトを探すことがよくあるようです。最初からこれをするにはハードルが高いと思うので、少なくとも1学期目は大学の寮に住むのがいいと思います。2学期目から出ている交換留学生は、周りに何人かいました。
自宅生以外はほとんどが大学から徒歩圏内に住んでいました。大学の寮もこの範囲にあります。大学の寮は西キャンパスと北キャンパスの大きく2つのエリアに分かれており、学部によって近さが異なるので取りたい授業が開講されている建物の場所は見ておくと良いかもしれません。
②食事
寮生は基本的にミールプラン契約が必須のため、基本的にミールプランが使えるカフェテリアで食事をとっていました。学内のコンビニやスターバックスでもミールプランが使えます。3学期目にアパートメントスタイルの寮に移ってからはミールプランが必須ではなくなったため解約し、ほとんど自炊していました。近くのH martで和食の材料は大体揃うので、カレーやシチュー、親子丼をよく作っていました。大学のカフェテリアは割高な上にあまり美味しくないため、ミールプランのレベルは一番下にしている人が多かったです。
③インターネット環境
ノートパソコンは日本から持って行きました。大学の寮は大学のWi-Fiがそのまま使えます。速度も特に問題ないと思います。
④住居に関するアドバイス(後輩の皆さんに自分の住んでいた住居をすすめたいですか?)
3学期目から住んでいたStevens Courtはおすすめです。少し古いですが、個室がある割に家賃もあまり高くなく立地も悪くないです。もう一度留学するなら、最初からStevens Courtに住むか2学期目からfacebookで探した外部の個室ありマンションに移ります。
6.留学生活全般について
この留学で一番良かったことは様々なバックグラウンドを持っている人に出会えたことです。自分の当たり前が相手の当たり前でない環境で、自分の価値観を見つめ直す機会になりました。例えば友人とキャリアの話になった際に、学業に疲れたからギャップイヤーをとって旅行に行くと彼は言っていました。それまではいかに空白期間を作ることなくストレートに無駄なく順風満帆なキャリアを築いていくかを当たり前のように考えていましたが、キャリアが人生の全てではないし、少し寄り道をしてもいいのではないかと考えるようになりました。また留学前は服装選びの際に大学で浮かないかをとても気にしていましたが、アメリカで会った友人たちが皆自由な服装をしているのに刺激を受け、人の目を気にしすぎないことを学びました。ジェンダー問題や多様性についても考察が深まりました。アメリカの大学は多様性を重視しており、男女比や人種が偏りすぎないように調整されています。北大の工学部では男女比がとても偏っており、多少居心地の悪い思いをしてもそれが普通なのだと諦めていました。しかし留学中はその偏りが少なく、男女比が偏っていないだけでこんなにも居心地が変わるのだと驚きました。工学部の男女比の議論では女子がそもそも工学に興味がない、というのが度々言われますが、アメリカの大学を見ている限りその説の遺伝子的根拠は薄いように思えます。また大学での居心地は平等ですが、大学入試は公平とは言えません。アジア人男性より黒人女性の方がCS学部には入りやすいと言われています。留学中に「日本人女性は少ないから、海外の大学院に行きたいなら他のアジア人男性より有利だね」と度々言われ、実際に真であるそうです。そう考えると点数のみを考慮する日本の大学入試はある意味「公平」であり、必ずしもアメリカを始めとする所謂推薦入試形式が必ずしも良いとは言えません。今日本では工学部の女子枠の議論が盛んですが、現在の歪んだ男女比の中で平等と公平を将来同時に実現するための一時的な強硬策としては有効なのではないかと考えました。近い将来そんなものがなくとも良い状況になることを願います。このようにジェンダー論について書きましたが、この考察は生まれた場所と異なる環境に行き、様々なことを体験したために熟成できたと言えます。今回のこの留学は私の人生の中で大きな意味を持ち、今後の全てにおける礎になると確信しています。国際交流課の皆様を始め、お世話になったすべての方への感謝を述べ、報告書の締めとさせていただきます。本当にありがとうございました。